ラブレターを書くなら、こう書こう。

拝啓も前略も何も、僕にはあまり其れがどういう使い方をされてきたのか分からないので、知らないまま貴方に手紙を書きます。
数日前、僕がいつものように学校をほどほどにこなし、熱量としては全然足りないような毎日の後、一人家路に帰り、それこそいつものようにインターネットに励んでいるときでした。
いつものように少しのポルノ、グロテスク、そして僕の処理できる程度の言葉に触れながら、蛍光灯の光に照らされた部屋で一人ほくそえんでいる僕でしたが、その日は空に星がなく、月でさえ僕がいくら探してもい何処を教えてくれぬほど、夜に切り離されていました。
そういう幾千の夜を過ごし、次第に慣れてきてはいた僕ですが、やはりどこか感傷的にならざるを得なくなり(といっても、専ら僕が考えるのは僕に不似合いなほど純粋に恋や愛のことだったのです!)僕の名づけた僕の名にふさわしく、思い悩んでいたのです。
その時流れていた音楽、なんてことないポップスの曲です、の口ずさみやすい恋のフレーズを聞き流しながら。
ふと猛烈に貴方の傍にいたくなったのです。
何も在りません。ただ、貴方の傍で静かに息をしていたくなったのです。貴方の手のひらを握り締めて、面白げにゆさぶり遊んでみたくなったのです。貴方の少しうつむきがちの頭をこちらに引き寄せるように撫でたいと想ったのです。
静かな夜には貴方と静かにいたいですし、多忙な毎日の中でひと時のロマンティックを知りたいと想ったのです。
僕は貴方を愛しているのでしょう。きっと愛しているのでしょう。
それから数日経ち今日です。その気持ちが未だに僕の中で熱を失わず沈まずなので、僕は安心してその気持ちを貴方に伝えられると想い、これを書きました。
僕は貴方が好きなんですよ。
恐ろしいほどの感情も、激しい情熱も、傷つけるほどの深い深い想いも、僕には不必要でした。
貴方には物足りないのかもしれませんね。
だけど、恐らく僕は素直に貴方が好き、なんだと僕が漸く分かりましたので、これを書きます。
敬具もP.S.もうまくは出来ない僕なので、うまく出来ないままこの手紙を書きます。
きっとそういうことなのです。そういうことだと信じてください。信じてもらいたいのです。
それでは、長くなりました。僕の拙い言葉でした。それでは。